「まさか…審査に落ちるなんて思わなかった」
そんな声を、私は現場で何度も耳にしてきました。
賃貸契約を進めるうえで、「保証会社の審査に落ちる」=物件に住めないことを意味します。
しかし、なぜ落ちたのか? どうすれば回避できたのか?を教えてくれる人はほとんどいません。
この記事では、15年以上にわたり賃貸保証会社の審査・営業・督促・訴訟業務に携わってきた筆者が、
- 賃貸保証会社の審査に落ちる人の共通点
- 審査に落ちたときの対処法
- 審査を通過しやすい保証会社の選び方
- 審査に落ちたことを不動産会社にどう伝えるべきか
など、現場の裏側を交えて徹底解説します。

目次
第1章:賃貸保証会社の審査に落ちる確率は?【実務経験から見る現実】
実は、賃貸保証会社の審査に落ちる人は決して珍しくありません。

落ちる原因は、申込者本人の事情だけでなく、以下のような「思わぬ要因」も含まれます:
- 緊急連絡先の人物が滞納歴あり
- 書類記入ミスで審査が止まったまま期限切れ
- 過去に他社で代位弁済(家賃立替)があった
- 在籍確認の電話に出なかった
- 収入と家賃のバランスが著しく悪い
審査に落ちた人の多くが、「こんな理由で落ちるなんて…」と驚かれます。
しかし、これらはすべて、実務の中では“よくある審査NG要因”なのです。
次章では、さらに詳しく、審査に落ちる典型的なパターンと、意外な盲点について解説します。
第2章:審査に落ちやすい人の特徴とNG事例
審査に落ちる人には、いくつかの共通点があります。
「自分には関係ない」と思っていても、実際には本人以外の情報が原因で落ちることも多いのが、家賃保証審査の怖いところです。
■ 実際に審査NGになった例(実務体験より)
- 緊急連絡先が過去に家賃滞納歴あり
→ 本人に問題がなくても、保証会社のデータベースにその緊急連絡先が「滞納者」として登録されていると、「関係者にもリスクあり」と判断され、審査NGに。 - 同居人が家賃滞納していた過去がある
→ 申込者自身が滞納していなくても、「同居予定者に問題あり」として却下されることがあります。 - 月収20万円で、家賃20万円の物件に申し込み
→ これは支払い能力がないとみなされ、一発アウト。収入と家賃のバランスが合っていないと判断されました。
■ NGになりやすい申込者の特徴
以下のようなパターンは、保証会社の審査でリスクが高いと判断される傾向があります。
タイプ | NG理由 |
---|---|
月収と家賃が同額、または家賃が高すぎる | 支払い能力に不安があり、家賃滞納リスクが高い |
緊急連絡先に滞納歴がある | 保証会社の内部データにより、関係性含めてリスク判定される |
同居人に問題がある | 申込者本人でなくても、「同居人の信用」で落ちる場合がある |
年金・生活保護などで家賃の支出割合が大きい | 支払い能力に疑念を持たれやすい |
書類の記入ミスや不備が多い | 本人の管理能力や信頼性が疑われる |
上記のように、「本人に落ち度がない」と思っていても、保証会社の審査ロジックは“リスクの芽”を全方位でチェックします。
次章では、審査に落ちたときに取るべき行動と、再審査・保証会社の変更の可否について詳しく解説していきます。
第3章:審査に落ちたらどうする?再申込み・保証会社変更の可否と対処法
「審査に落ちてしまった…。でも、どうすればいいの?」
そんな不安を抱える方に、まずお伝えしたいのは、「同じ保証会社への再申込みは意味がない」ということです。
■ 一度の否決で“ブラックリスト扱い”?
筆者が所属していた保証会社では、審査NG(否決)になった情報はデータベースに登録される仕組みになっていました。
再度同じ保証会社に申し込んでも、過去の否決情報が残っており、ほぼ100%通らないのが現実です。
したがって、
- 再申込みよりも保証会社を変更する方が現実的
- 同じ不動産会社でも、複数の保証会社と提携しているケースがある
■ 保証会社を変更する際の注意点
保証会社を変更すれば審査に通る可能性はありますが、以下の点に注意してください:
- 新たに申込書を書き直す必要がある
- 物件によっては指定の保証会社が決まっており、変更できないことがある
- 保証会社変更を申し出る際は、不動産会社の担当者に「別の保証会社で再審査できませんか?」と丁寧に相談を
■ 別の保証会社で通過した事例(現場経験)
実際に、A社で審査NGだった方が、B社に変更したことで無事通過した事例は多数あります。
特に、独立系保証会社(全保連、Casa、フォーシーズなど)は柔軟な判断をするケースが多いため、信販系に落ちた方でも通ることがあります。
■ NGになったらすぐに動くべき
否決が出てしまったら、「保証会社を変えて再度申し込むか」「別の物件を探すか」の判断を早めに行いましょう。

次章では、「審査に落ちた理由は開示されるのか?」という素朴な疑問に、実務経験からお答えしていきます。
第4章:審査に落ちた理由は開示される?保証会社が教えてくれない本当の理由
審査に落ちたとき、多くの人がこう思います。
「どうして落ちたのか、せめて理由を教えてほしい」
しかし、実際の現場では、審査に落ちた理由が本人にも不動産会社にも開示されることはありません。
■ 理由を開示しないのが保証会社の方針
筆者の実務経験でも、審査否決の際は次のような対応が原則でした。
- 申込者:「なぜ落ちたんですか?」
- 保証会社:「誠に申し訳ありませんが、審査結果の詳細はご案内できません」
これは個人情報保護と審査ロジック保全の観点から、保証会社が明確に方針として定めている部分です。
■ 不動産会社にも原則開示されない
多くの方は「不動産会社に聞けばわかるだろう」と考えますが、
実際には不動産会社も否決の通知(FAXなど)を受け取るだけで、詳細な理由は知らされません。
ただし、例外も存在します。
- 保証会社の担当者と不動産会社の担当者が親しい場合
- 日頃から業務連携が密な場合
このような関係性があると、「これ、収入と家賃のバランスが厳しいって言ってたよ」など、非公式に耳打ちされるケースもあります。
とはいえ、これはあくまで“担当者レベルの信頼関係”に依存するもので、全員に当てはまるわけではありません。
■ 理由を詮索するより、次の一手を打つべき
否決された理由がわからず悶々とするよりも、「別の保証会社に切り替えて再審査」という建設的なアクションを取ることが重要です。
保証会社を変えれば、同じ申込内容でも通過する可能性があるからです。
次章では、通過率を上げるために意識すべき「審査前の準備」と「保証会社選びのコツ」をお伝えします。
第5章:審査に落ちないための準備と保証会社選びのコツ
「できれば審査に落ちたくない」――それは誰しもが思うこと。
しかし、審査に不安がある方は、事前の準備と保証会社選びによって通過率を大きく変えることができます。
■ 審査に不安がある方には「審査が甘い保証会社」を選ぶ
実務現場では、無職・年金受給者・収入が不安定な方に対して、審査が比較的甘い保証会社をあえて紹介するという工夫をしていました。
例えば:
- 独立系保証会社(全保連、フォーシーズ、Casaなど)は、書類審査中心で柔軟な判断をするため、通過しやすい
- 信販系(ジャックス・エポスなど)は信用情報や借金状況に厳しいため、避けるべき
■ 無職や収入証明が弱い人は「通帳残高」でカバー
無職や新卒、転職直後などで収入が安定していない方でも、預金残高の提出により審査を通過した実例が複数あります。
特に、以下の目安があると審査側も安心します:
家賃の半年分〜1年分の残高(例:家賃6万円なら36〜72万円程度)
通帳の写しや口座スクリーンショットを提出するだけでも、「この人は支払い能力がある」と評価されやすくなります。
■ 審査に備えてやるべき事前準備チェックリスト
審査通過率UPのための事前チェック
- 無職や不安定な収入の場合は預金残高を準備しておく
- 緊急連絡先に過去の滞納者を設定しない
- 家賃と収入のバランスを意識した物件選びをする
- 審査が緩い保証会社を不動産会社に相談する
- 申込書の記入は丁寧に、誤字・記入漏れがないよう注意
次章では、審査が甘いと言われる保証会社と、選ぶ際の注意点をランキング形式で解説していきます。
審査が甘い保証会社ランキング|選ぶ際の注意点も徹底解説
全保連の審査で否決されてしまった方にとって、「審査が甘い保証会社」は救世主となり得ます。
しかし、審査が甘い=必ずしも安心ではないという落とし穴も。

審査が甘い保証会社ランキング【実務ベース】
- 第1位:アーク株式会社
緊急連絡先のチェックが緩く、無職・自己破産者でも通る実例多数。
注意点:対応エリアが限られており、物件によっては利用できない。 - 第2位:Jリース株式会社
柔軟な審査基準で、フリーターや年金受給者でも可決例あり。
注意点:審査が早い分、書類の不備には厳しく即否決も。 - 第3位:株式会社Casa
通帳残高や福祉受給の安定性を重視。役所のケースワーカーでも緊急連絡先として通るケースも。
注意点:収入証明が提出できないと通過率が下がる。 - 第4位:フォーシーズ株式会社
年収制限がゆるく、生活保護や年金の方にも対応している。
注意点:保証プランによっては更新料が高額。 - 第5位:興和アシスト
地方物件に強く、個人経営者や短期契約の方でも可決実績あり。
注意点:不動産会社の取り扱いが少ない。
審査が甘い保証会社を選ぶ際の3つの注意点
- ① 保証内容と延滞時の対応を必ず確認する
審査が甘い会社ほど、督促や訴訟対応がシビアな傾向もあります。契約前に保証範囲・支払い条件・解約条件を必ず読みましょう。 - ② 管理会社・不動産会社が提携していない場合は利用できない
希望しても、その会社が取り扱っていなければ申込すらできません。事前に確認を。 - ③ 初期費用や更新料が他社より高めに設定されていることがある
安易に「審査が甘いから安心」と考えず、費用バランスも確認して選ぶのがベストです。
家賃保証会社の選び方マニュアル|物件タイプ・属性別で失敗しない戦略
家賃保証会社は一見似ているようで、審査基準・保証内容・対応スタンスが全く異なります。
物件や入居者の属性に合わない会社を選ぶと、審査否決やトラブルにつながることも。

【状況1】無職・生活保護受給者・年金生活者の場合
- おすすめ保証会社:Casa、アーク、フォーシーズ
- 理由:通帳残高や支給証明など、実際の生活実態を重視した審査を行う
【状況2】フリーランス・個人事業主・収入証明が曖昧な場合
- おすすめ保証会社:Jリース、興和アシスト
- 理由:職種や収入の説明がしやすく、柔軟な判断をしてくれる
【状況3】信販系で否決された後、再チャレンジしたい場合
- おすすめ保証会社:Jリース、Casa、アーク
- 理由:信販系に比べて与信に柔軟で、過去の否決履歴を気にしない
【状況4】とにかく初期費用を抑えたい場合
- おすすめ保証会社:ビレッジハウス(保証会社不要)、興和アシスト
- 理由:保証料が格安、または物件自体が保証会社不要で対応してくれる
【状況5】家族や知人に保証人を頼めない場合
- おすすめ保証会社:フォーシーズ、Casa(福祉対応◎)
- 理由:役所職員や支援者などでも緊急連絡先対応してくれる事例あり
保証会社は“選べる時代”です。不動産会社が出してきた会社だけで判断せず、選択肢を知っておくことで、審査落ちやトラブルのリスクは大幅に下げられます。
まとめ
本記事では、特に「全保連は審査が厳しい」と感じた実務経験をもとに、否決される理由、対処法、他社への切り替え戦略まで徹底的に解説してきました。
審査に落ちる理由は多岐に渡りますが、共通するのは『情報不足』と『戦略不足』です。
申込時に緊急連絡先や収入情報が不十分だったり、否決後に同じ保証会社へ再申請してしまったり——
これらはすべて回避可能です。
今すぐできる!再審査で失敗しないための3ステップ
- 1. 緊急連絡先を信頼できる人物に見直す(滞納歴NG)
- 2. 保証会社を切り替え、Casa・Jリースなど独立系を検討する
- 3. 通帳残高や勤務先情報を整えて申請に臨む
今後も「審査が甘い」「保証人不要」「生活保護でも可」といった魅力的なワードに飛びつくのではなく、あなたの属性と条件に合った保証会社選びが大切です。
審査に不安がある方、否決されたばかりの方も、正しい情報と対応で道は開けます。
本記事を参考に、スムーズな賃貸契約を実現してください。